
ボトックスについて
ボトックスとは、ボツリヌス菌が作るA型ボツリヌス毒素を用いた製剤のことです。
ボツリヌス毒素にはA〜G型までの7種類があり、ヒトに使用することができるのはA型とB型です。B型は痙性斜頸という疾患にのみ適応があり、美容医療で用いられているボツリヌス毒素は全てA型です。
ボツリヌス毒素は、アセチルコリンという筋肉を動かす作用のある物質が、筋肉に伝達するのを防ぎます。ボツリヌス毒素を筋肉内に注入することで、ボツリヌス毒素が神経細胞内に取り込まれます。ボツリヌス毒素はSNAP-25というタンパク質を切断し、アセチルコリンの放出を阻害します。アセチルコリンの放出が阻害されることで筋肉の収縮が起こらなくなります。
ボツリヌス毒素は3〜4ヶ月でボトックスは代謝されるため効果が薄れていき、6ヶ月程度すると完全に代謝されるため効果はなくなります。ボトックスには打ち続けるとシワが寄らなくなるという効果はありません。しかし、シワを一時的に寄りにくくすることでシワを寄せるクセが改善され、結果としてボトックスを打っていなくてもシワが寄りにくくなることはあります。
当院で採用しているボトックス製剤は、アラガン社のボトックスビスタとメディトックス社のニューロノックスを採用しています。ボトックスビスタは2009年に厚生労働省から承認を得た、国内唯一のシワ取り用A型ボツリヌストキシン製剤です。アメリカの製造工場より徹底した管理のもと、日本へ輸入されるので品質の高さも保証つきです。ニューロノックスはアラガン社のボトックスビスタのジェネリック医薬品に当たります。韓国食品医薬品安全庁(KFDA)に承認されている薬剤です。
ボトックスを長期間繰り返した場合、中和抗体が生成され効果が認められなくなる可能性があります。中和抗体が生成された人全員にボトックスの効果が認められなくなるわけではありませんが、中和抗体ができにくくするため適切な間隔を空けて注入することが大切です。
肩ボトックス
肩ボトックスを注入する筋肉は僧帽筋という、頭の後ろから肩甲骨と鎖骨にかけてある大きな筋肉です。

僧帽筋は解剖学的に上部・中部・下部の3つに分けられます。上部は首の後ろから肩にかけて、中部は肩、下部は背中に分布しています。
肩こりを改善するには、上部下端から中部にかけてコリが強い部分を中心に注射します。また、肩こりによる痛みが強い場合は、トリガーポイントというペインクリニックなどで痛みを抑えるために注射を行っている部位にも注入することがあります。
肩のハリを改善する際にも上部下端から中部にかけて注射しますが、僧帽筋のハリをより抑え、首から肩にかけてのラインが綺麗に出るように、僧帽筋上部の首に近い場所からアプローチしていきます。
治療について
こんな方におすすめ
・肩こりに悩んでいる方
・肩をほっそりさせたい方
治療の流れ

- メイクや皮脂を拭き取ります。
- 治療部位にマーキングをします。
- 製剤を注入します。
治療時間と頻度
約30分 3〜4ヶ月に1度
副作用・注意事項
一時的に顔を動かしにくかったり、倦怠感が出現する場合がありますが、数日から数週間程度で改善します。
治療効果や副作用には個人差があります。主観的な満足を得られないことや、客観的な治療効果を得られない場合があります。ご理解の上、治療をお受けください。
治療が受けられない方
・妊娠予定・妊娠中の方
・神経筋接合部に疾患のある方
症例写真

症例:20歳代女性
結婚式を前に肩のラインをスッキリさせたいとのことで来院されました。元々痩せ型で、綺麗なラインをしている方ですが、僧帽筋のハリにより首が短く見えてしまっていました。そのため、肩の細く見せたいラインを中心にボトックスを注入しました。
治療内容:ニューロノックス 肩ボトックス
副作用(リスク):動かしにくさ・倦怠感・皮下出血などが生じる可能性があります。
価格:88,000円(税込)

症例:30歳代女性
デスクワークが多く慢性的な肩こり、さらに肩こりからくる緊張型頭痛に長年お悩みで来院されました。診察時、僧帽筋の緊張がとても強かったため、緊張が特に強い部分を中心にボトックスを注入しました。しばらくは肩の重みを自覚されたようですが、2週間後には気にならなくなったそうです。また、慢性的に巻き肩だったのが改善されたそうです。
治療内容:ニューロノックス 肩ボトックス
副作用(リスク):動かしにくさ・倦怠感・皮下出血などが生じる可能性があります。
価格:88,000円(税込)
料金
ニューロノックス 88,000円(税込)
アラガン社 110,000円(税込)