
エレクトロポレーション
エレクトロポレーションは、電気の力で通常時は密に接している細胞同士に微細な空間をあけ、そこから美容成分を真皮層まで浸透させる施術です。
日常のスキンケアでは、有効成分を皮膚表面の角層までにしか届けることができません。また、イオン導入では美容成分を表皮層にまでしか届けることができません。そのため、真皮層まで浸透させることができるエレクトロポレーションと比較して、いずれも効果が限定的です。

また、イオン導入では分子量の小さな物質しか使用できないです。一方でエレクトロポレーションは多彩な製剤を導入できるため、患者さんひとり一人のお悩みや症状に合わせて製剤を選択することができます。当院でエレクトロポレーションで使用する製剤は、ビタミンC・トラネキサム酸・レチノイン酸・プロテオグリカン・幹細胞上清液の5種類です。
当院で選択できる製剤
ビタミンC

ビタミンCの正式名称はL-アスコルビン酸といいます。ビタミンCの効果は大きく2つ挙げられます。
①シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制
表皮深層にあるメラノサイトが活性化し、メラニン色素が生成されることでシミができます。ビタミンCを投与することでメラノサイトの活性を抑制し、シミができにくくします。ただし、すでにできてしまったシミを薄くする効果は低いので、できてしまったシミについてはレーザーなどで除去することが必要です。
②コラーゲンなどを減少させる活性酸素の生成を抑制
活性酸素は肌のハリやツヤ感を維持するのに大切なコラーゲン・エラスチンを減少させます。また、活性酸素はメラニン色素の増殖にも関与しているといわれています。そのため活性酸素を抑制することでシミのないハリのある肌を維持することができます。
トラネキサム酸

トラネキサム酸はアミノ酸の一種で、止血作用・抗炎症作用があることから、血を止めたり、風邪など炎症を抑える目的に使用されています。美肌については2つの効果に分けられます。
①プロスタグランジンの生成を抑制してシミを予防
シミの原因となるメラニン色素はプロスタグランジンという物質を必要とします。このプロスタグランジンの生成を抑制することでシミをできにくくします。
②抗プラスミン作用による鎮静効果
プラスミンという炎症の原因となるキニンなどの働きを抑制し、鎮静効果をもたらします。
レチノイン酸

レチノイン酸はビタミンA誘導体の一種で、肌への薬理作用が1番高い誘導体です。レチノイン酸は、ニキビだけでなくシミにも効果があります。
①肌のターンオーバーを促してシミ・ニキビを改善
レチノイン酸は細胞分化のスピードを促進するため、シミの原因となるメラニン色素の少ない細胞が生成することができます。また、古くなった角層を除去し毛穴の詰まりを改善します。それにより空気に触れることで失活する、ニキビの原因となるアクネ菌の働きを抑制します。
②皮脂の分泌を抑制してニキビを改善
レチノイン酸には皮脂腺の働きを抑制する効果があります。過剰な皮脂腺の働きを抑制することで、毛穴を詰まりにくくします。また、皮脂の詰まりが原因で増殖する、ニキビの原因であるアクネ菌の働きを抑制します。
③真皮層に作用してコラーゲンの生成を促進
レチノイン酸が真皮層にある線維芽細胞に作用すると、コラーゲンの生成を促進され、ハリのある肌に変化していきます。
プロテオグリカン

プロテオグリカンはタンパク質の一種で、保湿・細胞増殖促進・コラーゲン生成・メラニン色素抑制効果があります。
①保湿効果
プロテオグリカンは水分と親和性の高いタンパク質です。そのため保湿効果が高いとされています。
②EGF様作用
EGFとは細胞の増殖を促す因子のことで、プロテオグリカンにはEGFと似た作用があります。そのため細胞の増殖が促進され、シミの原因となるメラニン色素の少ない細胞が生成されます。さらに真皮層に作用することでコラーゲンの生成が促され、ハリのある肌へと変化していきます。
幹細胞上清液

幹細胞上清液とは、培養した幹細胞のうち有効成分を多く含む上清液のみを抽出した製剤のことです。現時点では幹細胞上清液を主な有効成分とする医薬品は承認されていないので、あくまでも主観的な効果をメインとしてご理解いただきますようお願いいたします。
EFG作用
EFGは細胞の増殖を促す因子で、幹細胞上清液に含まれています。細胞の増殖が促されることでシミの原因となるメラニン細胞の少ない細胞が生成されます。さらに真皮層に作用することでコラーゲンの生成が促され、ハリのある肌へと変化していきます。
治療について
こんな方におすすめ
・ニキビがある方
・薄いシミ・肝斑・色素沈着がある方
・肌の色ムラ・毛穴の開きが気になる方
治療の流れ

- メイクや皮脂を拭き取ります。
- 美容成分を塗布し、微弱な電気を流しながら浸透させます。
治療時間と頻度
約15分 3〜4週間に1度
副作用・注意事項
一時的に肌が赤くなったり、痒みを感じることがありますが、通常は数時間から数日で治ります。また一時的にシミ・肝斑・色素沈着が濃くなったように感じることがありますが、1ヶ月程度で治ります。上記症状が長引く場合は、担当医にご相談ください。
治療後は角層が薄くなり肌が乾燥しやすく、日焼けしやすい状態です。保湿とUVケアを行なってください。
治療効果や副作用には個人差があります。主観的な満足を得られないことや、客観的な治療効果を得られない場合があります。ご理解の上、治療をお受けください。
治療が受けられない方
・妊娠中の方
・不整脈の治療をしている方
・ペースメーカーが入っている方
症例写真

症例:50歳代女性
シミが気になるとのことで来院されました。レーザーの効果もありシミ自体は薄くなりました。それと同時にシミができにくい、肌荒れしにくい環境を作るためエレクトロポレーションでしっかり保湿を行いつつ、シミの発生を抑えていきました。
治療内容:シミスペシャルコース(乳酸ピーリング+エレクトロポレーション+デュアルピール 各10回+ピコスポット 1回+炭酸ガスレーザー 1回)
副作用(リスク):痛み・腫れ・赤み・かゆみ・かぶれなどを生じる可能性があります。
価格:480,000円(税込)
料金
ビタミンC+トラネキサム酸 全顔 15,000円(税込)
ビタミンC+レチノイン酸 全顔 15,000円(税込)
プロテオグリカン+幹細胞 全顔 18,000円(税込)